「空も暗くなってきたなぁ」
冬は、日が落ちるのが早いから、このネコと一緒にいられないのが残念。
「じゃあ、もう行くね」
話かけたその相手は、黙々と目の前のエサを食べている。
キミは、のんきだね。
私は、着ていた上着をそっとダンボール箱にかぶせた。
「これだけしかなくて、ごめんね。ちょっと暗いけど、寒さは防げると思うから」
そのとき、ちょうど大きな風が吹いた。
うー、やっぱり寒いなぁ…
「また明日もくるからね」
ダンボール箱にかぶせた上着をめくって、ネコにそう約束をした。
ネコは、暗闇から差す光の中で、大きな私を見つけて、驚きながらも、にゃー、と鳴いた。