数分後、手渡されたエサの袋はずっしりと重かった。
「まだ、結構入っているのよ。エサを取り替えたばかりに死んじゃったからね」
お母さんは、悲しく笑った。
「じゃあ、このエサもらってもいい?」
「いいけど…何に使うの?」
「えへへ、秘密だよ」
私は、そのままエサの袋を自転車のカゴに乗せて、裏山までこいだ。
雪道で、ガタガタになっていて、氷で、滑りやすくなっていた道を、ただただ必死にこいだ。
何回も転んで、何度も怪我した。
だけど、こんな痛みは、あのネコに比べれば、全然たいしたことない。
だから何度も、ネコのために立ち上がる。