「永瀬…?」


声のした方を見れば、入谷くんがもうあんなに遠くにいる。


現実世界の距離みたい…


思わず、そう思ってしまった。


「どーした?ぼーっとしてるけど」


「え?…ああ、なんでもないよ」


「そっか」


入谷くんはそう言って、また前を歩き出した。


私も、行かなきゃ…


前に進まなきゃ…


そんなことを考えながら、店員さんに席を案内されている入谷くんの背中を追いかけた。