そして、俺は転校という道を選んだ。 急に母さんが転校の話を持ちかけてきたんだ。 きっと、どこかからいじめのうわさが出たのだろう。 俺は母さんの優しさを無駄にはしたくなかったから、素直に頷いておいた。 当然、お別れ会なんてもの開かれることはなく、静かにこの学校を去った。 未練がないと言えばウソになる。 またみんなで、笑いあいたい。 拓海と仲直りしたい。 北へ向かう車の中で、俺は窓を眺めながら1人、そう思っていた。