「最初、それを見かけたときは優しいやつだと思ってた。だけど、何日か前…そのネコを見に行ったら、ぐったりしてたんだ。それで、俺は思い出した…事件のことを」


顔をあげれば、涙を必死にこらえる拓海の姿が見えた。


「俺は以前、被害にあったネコを見たことあるんだ。だから、すぐに気付いたよ…毒を盛られたんだって。信じたくなかったけど、これを見たらそう思うしかないんだよ!」


声を荒げてそう言った。


こんな拓海は見たことない。


きっと、辛かったんだろう…


何か声をかけてあげたい。


だけど、今の俺ができることは何もない。


「だから、俺はお前を一生許さない」


拓海は最後にそう言って、逃げるように走っていった。