その日の放課後、もう必要なくなった『ネコの肉球大辞典』を返しに図書館へ向かった。
いまは、可愛らしいネコの姿をみても何も思わない。
ネコが嫌いになったわけではない。
ただ、自分自身に対するいらだちを八つ当たりしているだけ。
そんなブルーな気持ちを抱えたまま、図書館についた。
ふと、柏木くんが気になって周りを見渡した。
でも、どこにもいなくて、ちょっと待ってみたり二階を探してみたりしたけれど、その日、柏木くんが現れることはなかった。
きっと、神様が私たちを会わせなかったのだろう。
こんな気分の私を柏木くんに会わせたところで何も生まれない、そう考えたんだ。