「とりあえず、千鶴…さん。こっちです」


私は無理やり話をさえぎって歩き出した。


2人がちゃんと付いてきてくれるのが影で見えた。


あぁ…


なんて私は、自分勝手なんだろう。


心の中によくわからないもやもやした闇がある。


黒い黒い闇。


「柏木くん、夏休みの宿題って数学はここまででしたよね?」


後ろで紙をめくる音がする。


「そうだと思うよ。テスト範囲にもなってるらしいけど…」


なんで、なんで今そんな話をするの…?


なんで、私はこんなに胸が苦しいの…?


なんでっ……


背後から聞こえる楽しそうな笑い声に、心の闇がさらに黒くなってゆく気がした。