「もしかして、永瀬さんですか!?」


「……!?」


どこからか、可愛らしいあの声が聞こえる。


柏木くんに気を取られて気づかなかった。


「ここですっ」


よく見ると、柏木くんの横からひょっこり小さな少女が現れた。


少女って言っても、柏木くんと同じ制服を来ているから高校生だけど。


前髪が横並びにきっちり揃えられて、あごのラインにきれいに沿ったツヤのある黒髪。


小さめの目元を隠すように掛けられた大きい黒縁メガネが、彼女の素の可愛さを象徴している。