光浦先生はすぐに保健室に来て下さり事の次第を話したのであります。

「篠原さん!あなたは…」

光浦先生は顔を歪めると言葉を止めてしまったのであります。

「それで、光浦先生、学校側と相手の事はお願い出来ますか?」

「分かりました」と承諾してくれた。

「篠原さんの事は雪乃先輩にお願いしようと思います」

「坂森さん…では無くて藤井さん?彼女なら安心ですね?」

雪乃先輩とは、ここの卒業生で美鈴の2つ上の先輩で坂森雪乃、昨年、結婚して藤井雪乃、産婦人科医である。

「桜先生宜しくお願いします。親御さんと相手、そして学校側の事は私で何とかします。それから篠原さんあなたの処分は後から考えます良いですね?」

「はい…」篠原さんは俯いたまま返事をした。

「それから篠原さん、中絶手術にはリスクがあります。こういう時はいつも女が泣く事になるんです。だから女だけが受け身ではいけないその場の雰囲気に流されてはいけないのですよ。分かりますね?貴方もひとりで悩んで苦しかったでしょ?もう大丈夫ですよ後の事は心配しないで桜先生の言う通りに動いて下さい」

篠原美沙希は光浦先生の話を黙って聞いて居たが、話が終わる頃には我慢していたのであろう涙が溢れ頬を伝っていた。
光浦先生は篠原美沙希を『もう大丈夫』と安心させるかのように抱きしめ背中をさすってあげていたのであります。
その後、光浦先生は篠原美沙希の親御さんに連絡を取り学園に来て貰うように連絡したのだが…
篠原美沙希のご両親は離婚されており互いに『新しい家庭があるから学園に一任する』と言う事でありました。
光浦先生は篠原美沙希の父親の仕事先に出向き委任状を書いて貰ったそうであります。