篠原美沙希は入るのを躊躇していたが覚悟を決め保健室に入って来たのであります。

「で、私にお願いしたかった事って何?」

「誰にも言わないでくれますか?」

「それは約束出来ない」

「おい!」

北島先生が慌てて口を挟むが美鈴の顔を見て察したのか黙って話を聞く事にした様だ。

「でも、悪い様にはしないそれは約束する」

俯いていた彼女は覚悟を決めたようで顔を上げると美鈴を真っ直ぐ見てひとつ深呼吸をすると話し始めたのであります。

「妊娠検査薬を買って来て貰えませんか?」

「妊娠検査薬!?」

と大きな声を出したのは勿論、北島先生であります。

「大きな声ださないでくれる?」

と美鈴は言い北島先生を睨みつけるのであります。

北島先生は大きな体を小さくして「すまん…」と呟いた。

「妊娠検査薬って事は妊娠の可能性があるって事だよね?それは同意での事?」

「はい……」

「どのくらい遅れてるの?」

「2週間…」

 (この子随分悩んだんだろうな…)

「分かった」

机の引き出しの一番下の鍵を開け妊娠検査薬をひとつ出すと机の上に置く。