誕生日前日――――。

元気の無い私を見かねたジョージとヒューバートが、フライフィッシングに行こうと私を誘ってくれた。

この間とは打って変わっての晴天。
だけど、心はブルー。

ジョージとヒューバートの心遣いに感謝しつつも、川に足を浸しながら私の心は暗く沈みがちになる。

「おーい!アリシア!もう少し上流に行くぞ!」

ジョージとヒューバートが、竿を持って釣り上って行く後を私は急いでついて行く。

いけない……

楽しまなきゃ。

今は……

今だけは全てを忘れて楽しもう……

たとえ、明日、逃げられない運命が待っているとしても。


だけど、太陽は私たちにとてもイジワルだった。


釣りを始めて暫くすると、さっきまでの眩いばかりの太陽の光が嘘のように消え去り、代わりに突然空を覆いつくし始めた雨雲からはざぁーっと激しい雨が降り出した。