エドは滑らかなカーブをやや乱暴にハンドルを切ると「それは出来ません」ときっぱりと拒絶する。

「言ったでしょう。オリヴィアの子供達が禁忌を犯すのを見るに忍びないと」

「犯さなきゃいいんでしょ」

「それだけじゃない。私は、ヘイワーズ氏から今後のヘイワーズ財閥の管理も任されている」

「あなたの好きにすればいいわ」

「……あなたは本当に何も分かっていない。ビジネスもヘイワーズ家のことも……」


エドは深く溜息を吐くと、「僕の想いも……」と小さく呟き路肩に車を寄せる。


「あなたは私の妻になる……。その、事実を受け入れるんだ」


みるみるエドの瞳が近づいてくる。

キスされる。

そう思った。

でも、私の目から零れる涙をそっと拭くと、エドは何も言わず車を再び発車させる。