エドは、一瞬顔色を変え、口篭もる。


「いや、余計な事を言いました。忘れて下さい」


エドは私の肩をしっかりと両手で支えると、私の目をじっとみつめる。


「だが、どんなに借財があろうとどんなに経営が苦しかろうと、全てヘイワーズ氏が健在であれば、ヘイワーズ氏の信用で回る事なんです」

「もういいわ。聞きたくない!」


エドの真剣な目に、強まる口調に、不吉な翳を読み取り、本能的に私は耳を塞ぐ。


でもエドは「聞きなさい」と手を掴むと、私の耳から手を引き離す。


「……ヘイワーズ氏はもう長くはありません。
もって半年と医者に診断されたと僕におっしゃっられた……。
それで氏はあなたの後見人兼婚約者として私を望まれたのです」


エドの思いも掛けない言葉に私の膝が折れる。