エドワードは微笑むとふぃっと目を逸らし私の手を再び握ると、そのまま庭園の散策を始める。


「よくここで私とオリヴィアは散歩をしました」

「あなたが?母さんと?」

「ええ。そして、私はここで跪き彼女にプロポーズを」


コンサバトリーに入った彼の歩みが止り、私を中にあるベンチに座らせると目の前に跪く。


「彼女は私を受け入れ、この場所で私達は永遠の愛を誓い合った……」

「嘘よ!」


私の抗議の声を無視するかのように彼は遠い目で話の続きを始める。


「年端もいかぬ私との結婚はヘイワーズ氏に猛反対された。
そして、オリヴィアは失意のうちに、遠くイギリスへと独り旅立ってしまった……」

「私は……母さんじゃないわ」

「勿論、あなたは彼女によく似ているが、中身は彼女とはまるで違う。
何よりオリヴィアはおしとやかでしたから……レディ・モンキー」

「ひどいわっ!からかうなんて!」

再び、こぶしを振り上げる私の手を掴み、真剣な眼差しでエドワードは私を見つめ返す。


「だが、このプロポーズはからかってなどいない」

私の手を掴むエドワードの目は、もう微笑んでなどいなかった。