数分後、扉をノックする音にベッドから顔を上げる。

「誰?ジョージ?」

「レディ・アリシア。気分が優れないとは聞きましたが、どうですか?散策でも?
良い気候に触れると気分も良くなるかも知れませんよ?」


私の握りしめた手に汗が滲む。

エドワード・マッカーシー……


「……分かったわ。10分下さい。今すぐ着替えますから、下の大広間で待ってて下さい」

私は急いで着替え、髪を結い上げる。

大きな階段を降りていくと、階下の欄干に寄り掛かって待っていたエドワードが、目を見開いて私に手を差し伸べる。

「これは……また、この間とは違って随分と美しく……」

「お世辞なんていらないわ、エドワード・マッカーシー」


キョトンとした顔で、「何を怒っているんですか?」と問いかけ、優しく微笑むエドワードに私は拍子抜けする。

まさか、昨夜のことは私の気のせいだったの?