ダイニングルームに向かう途中、ジョージに聞いてみようと思って部屋をノックしたけど、既に部屋にはいなかった。


私は動揺した心を落ち着かせようと、必死で目を閉じる。


深呼吸して息を整えると、おじい様とジョージの話し声のするダイニングルームの扉を勢い良く開けた。


「おじい様！」

「おお！アリシアか！」

「こら、アリシア、行儀悪いぞ。ノックぐらいしろ」


昨夜の甘々ジョージは、いつもの兄の顔になってる。


シュンとなってしまった私を、


「まぁ、良いではないか。おいで、アリシア。
その可愛らしい顔を良くわしに見せておくれ」


「おじい様、お帰りなさい！」

おじい様は両手を広げて、抱き締めてくれる。

とても６５歳とは思えない位、ガッチリとした体格のおじい様は私が飛びついてもびくともしない。


「見る度に綺麗になっていくようじゃな。もしかして恋でもしているのかな？」

「そ、そんなこと、ないわ！」


私は一瞬どきっとして、おじい様の肩越しにジョージを見つめる。