「随分と可愛らしい女の子に化けたサルがいたものですね」


しまったわ。

まさかこんな早朝に、しかも普段人気のない場所に人がいるなんて!


「あなた、誰?」


両手で枝を掴んで下を覗き込み、その男と目が合った瞬間、男の目が大きく見開かれる。


「まさか……オリヴィア……」


オリヴィア?


オリヴィアって今、言ったわ、この人……。

どうして、この人が母さんの名前を知ってるの?


男ははっとして、「まさか、そんなはずはない」と呟き、それでも私をじぃぃぃぃっと見てる。



「あの……。お、降りますから、そこを退いて下さい」

「ジャンプなさい。ちゃんと抱き留めてあげますから」


男は両手を広げると笑った。