眼下には幾つもの小高い丘陵が連なり、その丘の合間に見える川から吹き上げる風が頬を冷ましてくれる。


「キレイ……」


川面に反射した朝日がキラキラ輝いて、光が躍っているように見える。

ここの景色が一番好き。

故郷のアイルランドにとても良く似ているから。

今まで何度も見てきた景色だけど、今朝は特に格別に……


「いい眺めだ」


えっ?

い、今の声、誰?

男の人の声だったわ。


辺りをきょろきょろ見回すと、その声の主は私の登っている木の真下にいた。