アリシアの顔から笑みが消え、俺を掴んでいた手が離れる。


「ジョージは……サリーのことが好きなの?」

「はぁ?!」


なんだ、ソレ?


「何、言ってんだよ。いきなり……」

「サリーはジョージに『恋』をしてるのよ……。だから……」


思いも掛けないアリシアの言葉に目が点になる。


サリーが……

恋してる?

俺に?


……なんだ、そりゃ?


アリシアは真剣なまなざしで、首を傾げている俺を見上げる。

俺は頭を掻くと、あきれ顔で答える。


「彼女はとてもいい子だとは思うよ。
それに、俺が困っている時は、助けてくれて……。
でも、それだけだよ」


「…………………ドンカン!」



アリシアはあっかんべーをすると、俺のむこうずねをゴン!と蹴り上げる。



「……ってぇーーーーーーーーー!!
こぉんのぉーーー!何すんだよ!」


「ドンカン、ドンカン!ジョージのドンカン!!」

「お前なぁ……。その性格直さないと恋人なんて出来ないぞ!」

「いいもん!いらないもん!!」



アリシアが屋敷内の柱から柱へと、あっかんべーをしながら、怒り追い駆ける俺から逃げ回る。