彼のあとからやってきたのはやはり、
「よ。」
奴だった。
「なんですか?」
あえて敬語で。
挑発しないように。
静かに去ってくれるように。
「ねぇねぇ、俺と回ろうよ?」
道端の連れの人は桃乃にそう言った。
そして、ひそひそと桃乃に耳打ちをすると、
「優樹菜、ごめん!がんばって。」
と、その人と一緒に人混みに消えていった。
.......え?
私はきっと、ものすごく間抜けな顔をしていると思う。
ど、どういうことですか、これは。
現状が良く理解できない.....
「......帰る。」
とにかく、今は道端と2人きりになりたくない。
私は道端に背中を向け歩きだそうとした。