この俺が、まさかこんなことを思うなんて。



自分でもどうかしてると思うけど。



手すりのかわりに、つかまれば。



そんなことすら考えてしまったんだよね。



大熊さんを見ていたら。



顔を上にあげたまま、戻せなくなったらしい大熊さんの顔を見下ろし続ける。



ふわっと香る甘い香りが鼻をくすぐる。



どんどん真っ赤になっていく顔に、心がなんだかギュッとする。