「だーかーら。
おまえは、こっちを歩けって言っただろ」



グイッと大熊さんを、道路はじに寄せる。



「左側がいいとか、こだわってんな」



大熊さんのことが心配で、声がピリッと鋭くなった。



「…………」



それ以降、反省したのか、大熊さんはおとなしく俺に寄り添って歩いた。



「あの……。
もうすぐ……家です」



大熊さんがぼそぼそっとつぶやく。