成宮の名前を出されて、ムッとした。



「でも……」



「『でも……』じゃない。
あーもー! 
くどいっ!!」



さっきから、何度となく繰り返したやりとりにイラついて、俺は大熊さんに向かって傘をさしだした。



「おまえに、傘、貸してやるよ」



「え? 
そんなことしたら、委員長が濡れちゃう……」



「仕方ないだろ。
おまえが、俺とくっつきたくないって言うんだから」



イラっとしながら、言葉を落とす。