トラックステーションに所狭しと置かれている荷物を避けながら、まるで迷路のようにくねくねと歩く。
とにかく二人になりたかった。芹香が気持ちを正直に打ち明けてくれたことに、俺は興奮気味だった。そんな彼女の気持ちが、今の瞬間に変わってしまうのではないかと、焦って不安になる。

「星野主任!お疲れ様でーす」

「ああ。これから夜勤?お疲れ様。よろしく頼むね」

「はーい」

荷物の地域別仕分けの、アルバイトの女の子たちに出会い、挨拶を返す。赴任した当日、遅れていた彼女たちの作業を手伝ったために顔見知りになった。

「主任!彼女ですかー?」

そのうちのひとりが、芹香を見ながら怪訝そうな顔をして言った。芹香の手を引きながら歩いているので、そう思われても仕方ない。

「いや、違うよ。残念ながらね」

面倒に思いながらも、返事を返す。

「えー。じゃあなんで、手なんて繋いじゃってるんですか?おかしいですよ。いやだな〜。今度私とも、手をつないでください」

「なにを言ってるの。彼女は部下。これから打ち合わせなんだ。じゃあ、俺たちは急ぐから。頑張ってね」

それだけ言って、逃げるようにその場を去る。

「拓哉……」

しばらくしてから、俺たちを見つめる彼女たちの姿が見えなくなった頃に、芹香が俺を呼んだ。

「ん?」

「相変わらずもててるね。拓哉はいつでもそうだった。それに、彼女もいるのに。私なんて、拓哉の心に入る隙間はないよね。……私の気持ちが迷惑なら……はっきり言ってね。……受け止めるから」