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拓哉の実家はどうなったのかしら。大丈夫なのかな。
降り出した雪を、窓越しに見つめながら考える。
昨夜、慌ただしく去って行った拓哉の背中を思い出す。私にはなにもできることなんてないから、結果を待つしかない。心配しても、どうしようもない。
分からないことばかりだけど、私が聞いても仕方のないことだ。
『中継が繋がっています。こちらは東陽ホテルです。倒産の危機にあった北一運輸と、同じく陵和輸送が、本日合併することを発表しました。二社は米永倉庫に吸収合併されるという報道が出ていたこともあり、事態は混乱している模様で……』
ふと、ニュースのアナウンスが耳に入り、テレビに目を遣る。
『先ほど、米永倉庫の黒田社長が、強制的に会場を退出させられたようです。どうやら黒田社長は……』
画面を見て、私は目を見開いた。
パーティー会場かなにかの場面だろうか。たくさんの人に囲まれた中央で、幸せそうに笑い合う男女。テレビに映っているその人物は、昨夜イルミネーションの光に照らされて笑っていた、拓哉だった。
「え?見間違い……じゃないよね?そんな。……どういうこと?」
私はテレビの画面に近づき、食い入るようにその男性を見つめた。