「あははは。全く、相変わらずだな。思いついたらすぐに行動しようとする。いいから。君は残って。女の子を連れては行けないよ。反省してるのは、よく分かったから」
可笑しそうに笑う彼を見ていると、まるであの頃に戻ったような錯覚に陥る。
いつも拓哉は、笑顔を絶やさなかった。
「お願いします。私も行きたいんです。お願い……」
彼ひとりに責任を負わせるのは、いけないと思った。
いつもそうやって、あなたは色んな人を助けていた。もちろん、私も。
今までは、それに甘えてきたけれど、今回は私も一緒に行きたいと強く思った。
「たとえ迷惑でも、私がお荷物であっても、事の顛末を自分で見届けたいんです。すみません。我が儘を言って」
私は必死で訴えた。
「うーん……。気持ちは分かるけど……乗り心地も良くはないし」
「大丈夫です。邪魔はしません」
それに、先ほどの、会議室前での話が、途中で終わったことを忘れた訳ではないから。
曖昧なままで、会えなくなるのは嫌だった。
きっと彼も。
そうだ。私は知りたいのだ。
彼の心の中に渦巻く気持ちを。
「……分かった。じゃあ、今から帰って準備してきて。6時半には出るから。大丈夫?」
「はい。大丈夫です」