俺が彼女を避けたから、そばを離れたから、彼女を止めることができなかった。

自分を責めることしかできない。



「お前が一緒にいて、どうして芹香ちゃんがあんな目に遭うんだよ。危ないと思わなかったの?」

バイトが終わり、着替えをしていたとき、富樫に言われる。

あれから結局、オーナーが来てカップルはスタッフルームに連れていかれた。警察も来ていたようだ。

芹香は、帰ってもいいと言われたようだが、最後まで店に残って仕事をしていた。
俺は、少し腫れた彼女の頬が目に入らないように、事件が起きた後も、極力彼女を避けていた。