無我夢中で恋をしていた。
愛することを止められなかった。
もっと深く、彼に溺れるつもりだった。
不安など、感じる暇もないほどに溶け合いたいと思っていた。

誰もが羨むような、最高の恋人を、決して離しはしないと。

それは、私の努力次第で叶うはずだった。
彼の言葉に、嘘がないのならば。



拓哉と付き合ってから、やがて一年が経とうとしていたころ。

恐れていた嵐は、突然訪れた。
彼を、一瞬にして私の世界から追い出さざるを得ないような、信じられない出来事。
立ち上がることすらできなくなるほどの、深い悲しみ。雪の舞い散る街で、身体も心も凍りつきそうな寒さの中、泣き叫んだ。


それから何年も、恋することを恐れてしまうほどの大きな傷を、心に負ったのだ。