そのまま彼は、すっと顔を下げると私にキスをした。

ええー!!

私は目を見開いて彼を見る。
長い睫毛が閉じた瞳を縁取っているのを、至近距離で寄り目がちに、じっと見ていた。

初めてのキスは、温かくて柔らかだった。
いつしか私も、うっとりと目を閉じていた。

この人の全てを、全身にもっと感じたい。
たくさんの幸せを、共有したい。
もっと彼を知って、もっと好きになりたい。

心からそう思えた。


「可愛いね。秋田さん。他のやつのことは、もう考えないで。君は今から、俺の彼女だからね」

吐息混じりの甘い声で、囁かれるように言われ、私は重い瞼をそっと開いた。
蕩けるような笑顔で、私を見つめるその瞳を見ていると、もう一度その温もりが欲しくなる。

瞼を閉じて背伸びをした。すると引き寄せられるように彼が唇を寄せてくる。

夢を見ているような、彼とのひととき。
これが夢ならば覚めないで。
ずっとあなたを独占していたい。
私だけのものでいて欲しい。