「すみません。…ずっと、好きでした。…あの、だからと言ってどうしたいだとか、…ありませんから。お店は辞めますから、聞かなかったことに…」

精一杯、言葉を選ぶ。
彼を困らせないように。

「冗談でしょ。聞かなかったことになんてできないよ。俺も君が好きだから」

「えっ?」

耳を疑った。

「先越されちゃったかー。ゆっくり口説く予定だったのに。だけど……」

そっと彼が私の手を握る。

「あっ、あのっ…」

もう、目が回って倒れそう。

「こういうことができるようになるのが、早くなったから嬉しいよ。ありがとう」

「え…」