「とりあえずこのリストから、運ぶ機材の重量を計算して、載せる車の大きさを出して。そしてこの中から庸車を委託できる業者をピックアップしてくれる?」
「はい」
拓哉のデスクは私の隣に配置された。
おそらく、これから目まぐるしく依頼されるであろう仕事に没頭しようと、書類を広げる。
カタッ。
彼の眼鏡ケースが積み上げられたファイルの上から落ちて、私のデスクに転がってきた。
「あ、ごめん」
「いえ…」
拾って手渡す。
視力が悪いなんて知らなかった。
あの頃はコンタクトだったのかな。
そんなことを考えながら、眼鏡をかけている拓哉を見つめる。
「ん?不明点でもあった?分からないことは遠慮なく聞いてね」
私の視線に気付いた彼が、パソコンを打つ手を止めて私を見返す。
「あ、いえ。大丈夫です。…すみません」
慌てて前を向く。