その年の年末に、駅前で開催される町のフェアにカフェのミニバーを出店することになった。
オーナーからの依頼でスタッフ八人に声がかかったが、あとの五人は用事があると連絡があり、来なかった。

バイト歴の長い星野さんがその場を任されていた。

「休憩は少しだけになるけど、ごめんね?終わったら打ち上げしような。今日は三人で頑張ろう」

私は頬を赤らめて彼を見つめながら頷いた。


木枯らしが吹きすさぶ寒い日だった。
ずっと憧れていた彼と、目を合わせて、まともに話したのは、その日が初めてで、そのときはこれから始まる彼との恋を想像すらしなかった。

深く傷付くことになるということも。