「芹香ちゃん。企画成功、おめでとう」
会議が終わり、佐伯課長が話しかけてきた。彼の隣には、にこやかな顔の梨元係長もいる。
ふたりの様子から、関係が修復できたことが分かり、私も笑顔で答えた。
「はい。よかったです。足でまといにならないよう、必死だったから嬉しいです」
「星野くんは本当にすごいよ。企画の成功だけじゃなく、君までもを笑顔に変えたんだから。一時期は、落ち込んで、見てはいられないほどだったからさ。また俺が慰めなくちゃならないのかと思って待ってたのに。どうやら俺の出番はなさそうだ」
佐伯課長を、隣から梨元係長が睨む。
「あなた、またそんなことを言うの？どうやったらその癖はなくなるのよ」
「冗談だよ。いちいち真に受けすぎだ」
言い合うふたりのやり取りが面白くて、私はクスクスと笑った。
「……あ。あんまり君と話していると、真に受けすぎな人がもうひとり出てくるな。じゃあ、頑張って」
佐伯課長は私の肩をポンポンと叩いて、出口へと向かった。
なぜ佐伯課長がそんなことを言うのかと思いながらふと振り返ると、拓哉がこちらをじっと睨むように見ていた。
