『定期輸送プロジェクトですが、現在の運搬費の四倍の収益が見込まれる契約を、河本製鉄殿と締結することができました。よって無事、新部署を設立することとなりました』
会議室で、壇上に出てマイクを片手に話す拓哉を見つめる。
新部署へと移籍するメンバー十三人とともに、この場には佐伯課長と梨元係長の姿もある。
企画課から企画二課へと独立する、私と拓哉がふたりで奮闘してきたプロジェクトは、輸送シュミレーション期間を無事に終え、会社にとっての大きな事業へと変わっていった。
今回の企画の業務すべてを中心となって手がけた拓哉は、課長へと昇格することが決まった。
『繊細な機械の取り扱いは、丁寧な梱包により貨物の故障事故を防ぐという対策とともに、重要なのは__』
拓哉の話を聞きながら、後継者としての手腕を感じる。
仕事において妥協を許さず、そんな厳しさのある中でも、人を瞬時に惹き付けていく。その魅力を感じるのは私だけではないだろう。ここにいる皆が、目を輝かせて彼の話に聞き入っている。説得力のある説明に、反論する人などいない。
これからも、そんな彼のそばにいるために、私は自分を磨き続けなくてはならない。
拓哉を見つめながら、そう心に誓う。