俺も笑い返す。
あのとき君が欲しがったものは、今の俺がなによりも手に入れたいものだ。
「芹香。俺にすべてをくれないか。……君と生きていきたい。この先ずっと」
ようやく言えた。もう自分を抑える必要なんてない。
とめどなく溢れ出す愛を、残さず君に渡せる。
「うん。……ありがとう。この瞬間を……ずっと夢見ていたの」
泣きながら笑う彼女を、そっと抱きしめ直す。
「芹香の未来は、ずっと俺の隣にある。もう……逃げ出したりはできないから。この先たとえ、なにがあっても」
これからは、なにを感じても君と分け合う。
君が呆れるほどに毎日、『愛してる』と言おう。君が悲しいときには、その悲しみをすべて俺が預かるよ。その笑顔が曇らないように、毎日君を笑わせる。
新たに生まれた欲求が、急激に心を満たしていく。
だけどそれは、これまでのものとは違う。苦しめられることなど、二度とないのだ。
芹香がこうして、俺のそばにいる限り。こうして君を抱いて眠れるならば。