__「本社企画部からこちらに配属になりました、星野拓哉です。よろしくお願いします」
朝礼でにこやかに挨拶をする彼の表情は、先ほどふたりで話したときとは別人のようだ。
満面の笑顔を堂々と皆に向けている。
寂しげに揺れる瞳がまるで幻であったかのように。
「星野主任には河本製鉄の定期輸送プロジェクトに専念してもらう。アシスタントは、秋田。二人でどうかこの企画を上手くまとめていってもらいたい。うまくいけば、ひと月後には新部署として立ち上げる」
佐伯さんが言うと、皆が一斉に私を見た。
腑に落ちない目線があちこちから注がれる。
どうしてあいつが、とでも言いたげだ。
私にも分からない。
どうして私が選ばれたのか。これまでに特別に目立つようなことをした訳でもないのに。
日々、与えられた仕事を淡々とこなしていただけだ。