「芹香……芹香……。愛してる」
言葉だけでは伝えきれない。
カフェでバイトしていた頃も、日増しに強くなる君への想いに、戸惑いながらも君を見つめていた。
ずっと、いつだってこうしていたかったんだ。
「ああ……っ」
俺の激情をまともに受けて、君は溶けるような視線を向けてくる。
そんな君を見ながら、泣きたいような気持ちに包まれる。
会えなかった時間を巻き戻すかのように、俺は芹香に夢中で溺れていった。
俺の腕に頭を乗せて眠る君を、じっと見つめる。
窓から見える月が、ほのかな白い光で君を照らしている。
その乱れた前髪をそっと直しながら、過去の日々を思い出していた。
『もうすぐ誕生日だろ?なにか欲しいものはある?』
あの日もこうして、芹香は俺の腕の中にいた。幸せそうに微笑む君は、なによりも美しく見えた。
『そんな。いいのよ、別に。欲しいものなんかないから』