次の日、私はいつもより早めに家を出た



いつもの電車には彼が乗っているから。



教室に入ると、麻妃は心配そうな顔で私を見てきた


私は麻妃に昨日のことを一部始終話し、

もう、平気だ。ということも伝えた


麻妃は、辛くなったらいつでも話してよ

そう、心配そうに言ってくれた


ありがとう。

私はそれだけ言って席に戻った。


席に座ると、隣の席のみなみくんが声をかけてきた。


「おはよ。
昨日、早退した分のノート写す?」

「おはよ~
うん、貸してもらえるとありがたい」


みなみくんは待ってましたと言わんばかりの勢いでノートを渡してくれた


私はそれを急いで写し始めた。


・・・すごく字が綺麗。


「みなみくん!
ノートありがとう!凄い字が綺麗だね。
何かやってたの?」


「いーえ!
中学まで習字やってたんだよ」


「だからかぁ!
すごい読みやすかった!本当に助かったよ~」


私が拝むと、照れたように頭をかいたみなみくん。


ガラッ

「おはよっす」


不意に入ってきた彼。


いつもより遅い。

なにしてたのかな?


なんて考えてからハッとする。


ダメだ。考えちゃ、ダメだ。


悩んでいる私を見たみなみくんは励ますように声をかけてくれた


「この本、この前読んでみたいって言ってたヤツ」


「・・・っあ!ありがとう!
あの、これ、どんなお話なの?」

半分上の空だった私。


「ふっ
この前もそれ説明したよ?」

くすっと笑ったみなみくん。


「犬の話だよ。
生まれてからずっと一緒だった犬と離れ離れになっちゃう話」


「あ!そうだった~!」

何度も説明してくれるなんて、優しいな。


なんて思いながら相づちをうつと、丁度先生が教室に入ってきた。