「そうだな」

「って、訳で……ごめんね椿ちゃん。せっかく話してくれたのに……」


私は首を横に振って「ありがとうございます」と答えた。


「会田さんに話せて良かったです」

「そう?」

「はい」

「じゃあ、俺は帰るから」


会田さんが立ち上がると何も言わず獅朗が会田さんに頭を下げた。
会田さんはそんな獅朗を誇らしげに見つめ「頑張れよ」と言って帰って行った。


会田さんが帰って行き部屋には二人きり。


ごめん……学。
私……獅朗が好きだ。


学を忘れた訳じゃないのに、
私の気持ちは獅朗への想いで溢れるそうになってる。


だけど、まだ伝えれない。



私の世界。
獅朗に出会う前の世界……
学に出会う前の世界……


その世界にけりがついたら、私の新しい世界になったら獅朗へ伝えよう。


好きになってくれてありがとう。
ずっと想ってくれてありがとう。


大好きだよ。って……




「とりあえず、後は会田さんに任せるだけだ」

「そうだね」

「大丈夫か?」

「ん?」

「キツかったんじゃねーか?」

「ちょっと、ね。でも獅朗が居てくれたから平気」


今の私の精一杯の言葉に獅朗は優しく瞳を細め愛しそうに私の髪を撫でた。