会田さんに話した内容は獅朗に話した内容と差ほど変わりはない。
だけど、獅朗は黙って聞いていてくれたけど、会田さんは違う。


言っていたように本当に全部……
全部話した。


いつもどういう経緯でそうなるか、
父親は何と言っていたか、
その行為をどう感じていたか、
自分は父親に対して何を思っていたか、


話せば話すほど、涙が止まらず過呼吸になりそうになる。
体が震える度、獅朗が抱きしめ優しさを強さを分けてくれた。


｢……愛川さんがな。辛かったね。椿ちゃん｣


優しい会田さんの言葉と視線にまた涙が溢れる。


｢とりあえず、椿ちゃんの場合は相手が親ってことだから、強姦罪での告発は難しい。だけど、何らかの罪にはなるよ｣

｢なんらかって何だよ｣

｢傷害とかな｣

｢傷害？その程度なのかよ｣


獅朗が声を荒げるのを｢法律だって限度がある。多分、愛川さんのことだ。法律は熟知しているから他の奴より抜け道は知ってるはずだ｣と冷静に答えた。