マンションに着いて、玄関先まで真澄と幸二が着いて来てくれた。

私は一人で部屋に入り最初に紅尾金龍に餌をあげてから荷物をまとめた。


「早くねか?」

「そう?」

「しかもそれだけかよ」

「着替えがあれば良いしね」

「お前も一応女子なんだし、何か色々あんだろう」


私の荷物が少ないのが不満なのか幸二はそう言って、私からボストンバッグを取り「帰るぞ」と先を歩く。


「幸二もあれで心配してるんだよ」


真澄が困ったように笑って幸二の後ろ姿を見ていた。


「椿、みんなそれぞれ思うことはあるけど、椿を心配してるのはみんな同じたから」

「……ありがとう」

「じゃあ、行くか」


真澄と幸二の後に着いて歩き、獅朗達の車へと戻った。