「嵐が羨ましい……」


私には狭いあの世界が全てだった。
本音を言える友達も居ない。
頼れる友達も居ない。


ずっと一人だったから……


「……今は椿にだって、今までと違う世界があるだろう」

「あるけど……」


私の世界は脆い。
何かあれば前の世界に押し戻されてしまう。
私はみんなのように強くない。


「椿」

「ん?」

「椿が望めば獅朗は何だってする」

「……分かってる」

「じゃあ、迷ってるのはどうしてなんだ?」

「迷ってる?私が?」

「俺にはそう見える」