学にも話せなかった私の全部を話し終えると獅朗の腕が私に伸び、フワッと私を抱きしめた。


「やっと話したな」


それは全て知っているようにも思えた。
獅朗は一度ギュッと抱きしめる腕に力を入れてから、私の体をゆっくり離し視線を合わせてくる。


「悪いな……知ってた」

「え?知ってた?」

「あぁ。俺から無理矢理話させても意味がなかったんだよ。椿が自分から話さないと意味がねーんだ。自分から話して現実と向き合う覚悟が出来ないとな」

「覚悟……」

「いいか椿。お前の親父は地位も金も人脈もある。そのうえ弁護士だ。知恵がある。お前が本当にどうにかしたいと思わない限りは、誰にもどうすることも出来ねーんだよ。どうにかしてーなら、逃げずに向かい合う覚悟が必要なんだ」

「獅朗は……何時から知ってたの?」

「初めからだ」

「初めって……」

「初めて椿に会った時からだ」