布団をギュッと握り俯いた。
ポロポロと涙が零れて行く。


普通のことじゃない。
私は普通じゃないんだ。


「椿……」


キシッとベッドが軋む。


「別に泣かせたいわけじゃねーんだよ。悪かったよ。そんな辛そうなのに、目の前に居る俺を頼ろうとしないから……」


ギュッと獅朗が私を抱きしめた。
学が居る。
真っ赤な牡丹が咲いている左肩も包み込むように優しく。


獅朗は何時も私を想ってくれている。
獅朗を拒否した私なのに……


私の話しを聞いても、獅朗はまたこうして抱きしめてくれるだろうか。
真っ直ぐな瞳で私を"好きだ"と言うのだろうか。


獅朗の背中に腕を回しギュッと力を込め……