「良いから言うこと聞け」


獅朗は無理矢理私をベッドの中へ入らせた。


「どうした?」


獅朗が優しく私の髪を撫で視線を合わせる。
何も答えない私に勘の良い獅朗が「さっきマンションに居た奴、知り合いか?」とストレートに聞いてきた。


「……父親」

「椿のおやじか?」

「……義理のだけど」

「椿のこと探してたんだな」


獅朗に背中を向けて布団に潜り込んだ。


「……帰りたくねーのか?」


帰りたいはずない。
あんな家……
あんな奴が居る家は嫌で、嫌で、仕方ない。