「何か食べるか?」

「……いらない」

「そっか」


何もない獅朗の部屋で二人でベッドに寄りかかるように座った。

獅朗が隣に居るだけでギリギリのラインで立ち止まることが出来ていた。


家を出て1年が過ぎてる。
きっとずっと探してたんだ。

あの人なら自分の立場を利用して、私の居場所を探し出すことなんてきっと簡単なんだ。

私は逃げれない。
あの人から逃げれないんだ。

あのマンションに帰れば、私は一生この街には戻ってこれない。



「椿、顔色悪いぞ」

「え?」

「横になってろよ」

「大丈夫……」