「あっ、獅朗」


獅朗は振り向き「どうした?」とまたベッドに近寄ってくる。


「……一人に、なりたくない」


ギュッと獅朗の服の袖口を掴んだ。

調子が良いことを言ってるのは分かってる。

一ヶ月前、
獅朗の想いに向き合えず、獅朗から逃げ出したのに、
嵐の家に連れて行って欲しいとか、
挙げ句には実家まで連れて来てもらって、
一人になりたくないなんて……


獅朗が「分かった。じゃあ、着替えが終わったら呼べ」と頭をポンポンと叩いて優しく笑った。


「ごめん……ありがとう」


そう言うと「廊下に居るから」と部屋を出て行った。