「実家だ」


何時もと違う景色の理由を獅朗が教えてくれた。


「向こうだと落ち着かねーと思ってな」


その理由もちゃんと教えてくれた。
確かに向こうだったら、何時誰が来るか分からず落ち着かなかっただろう。
でも実家に私なんかを連れて来て大丈夫なんだろうか。


獅朗は私からペットボトルを取ると「ほとんどこの部屋は使わねーからな。何もねーだろう」とペットボトルをそのまま床に置いた。


「……ごめん。迷惑かけて」

「……スゲェ汗かいてたけど着替えるか?」

「……うん」


獅朗はクローゼットを開け中からスエットを出してそれを貸してくれた。


「隣の部屋に居るから何かあったら呼べよ」

「隣?」


此処まであの人が来るとは思わないけど、一人になるのが不安で怖い。