「椿……大丈夫か?椿」


ゆっくり瞳を開けると心配そうに私を見つめている獅朗が居た。


「獅、朗……」


喉が渇ききっていて上手く言葉が出なかった。


「大丈夫か?」


私が小さく頷くと「水持ってくるから飲め」と安心したように言ってくれた。


獅朗が部屋から出て行き、ベッドから見える景色が何時もと違っていて戸惑った。

カーテンも寝ているベッドカバーも真っ黒。
そして部屋には私が寝ているベッド以外には何もなかった。


少し体を起こすと「起きて大丈夫か?」と獅朗が私にペットボトルを差し出した。
それを一口飲むと、渇いていた喉が潤って行くのが分かるくらい染み込んで行く。