「俺だって納得なんかしてねーし。椿が言うように嵐は嵐だ。誰の代わりにもならねー。唯一無二の存在だ。だけど、嵐が自分で考えたんだ。アイツの家はあんな稼業だし。色んなしがらみやメンツがある中で嵐がそうするって決めたんだ。俺らが可哀相だなんて思ったら嵐の思いが無駄になる」


それは理屈。
気持ちなんて理屈通りには行かない。
そう決めたって、傷つかないはずがない。


「嵐は嵐だ。俺達がそう思ってれば良いんだよ。アイツの居場所はあの家だけじゃないからな」


そう言われて思い出した。
最初。
一番最初にあの秘密基地に連れて行かれた時、
嵐は本当に嬉しそうな顔で「秘密基地」と笑っていた。


「……そうだね」


そうかもしれないね。
きっと獅朗達ならどんな嵐だって、面と向かって受け止めてくれる。
それを嵐も知っているんだと思った。